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『ノルウェイの森』
高校二年の時、いきなり隣の席に座っていた女の子が狂いました。
本当に突然でした。
彼女はそれまで両親に対してかなりいろいろ悩んでいたんですが、私はそんなに深刻だとは思っていませんでした。
でも集中力がだんだんなくなっていって、授業中でも平気で話しかけてくるようになり、私は毎日ハラハラしていました。
そんなある日、世界史の授業中いきなり彼女は笑い出し、止まらなくなりました。
世界史の時間といえば、どんな生徒も確実に寝てしまう催眠術師みたいな先生の担当でしたが、場にそぐわない、怖くて悲しくなる笑い声でした。
偶然その瞬間、なぜか私は彼女を見ていました。
朝から様子がおかしかったのかな。 思い出せないのですが、とにかくその時、彼女の何かが弾ける音がしたように感じました。
それからもっと大変なことがあったのですが、今はそのことをよく思い出せない。
どうしてそうなるのか、今もわからないんですけど、人の心が取り返しのつかないほど遠くに行ってしまった時に、あの時のぱちんという音が聞こえるような気がします。
なんでこのことを書いたかというと、『ノルウェイの森』を観たからです。
観ながら、久しぶりに彼女とあの時の音を思い出しました。
『ノルウェイの森』を初めて読んだのは大学一年の時です。
それからもう何度も読みました。読む度にどうしようもないものを感じて、息苦しくなったりして、私にとっては恋愛小説のスタンダードなのです。 その映画化です。
村上春樹については、私なんかよりもっと思い入れのある人がいらっしゃると思います。
そうした人たちの思いに敢えて立ち向かった形での挑戦なので、先に結論しますが、星二つ半。
良かったです。
トラン・アン・ユン監督の世界観なので全体的に日本じゃなくエスニックっぽい感じなのも、1970年前後の雰囲気っぽくて良かったし、登場人物も思っていたのに近かったので違和感がなかったです。

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高校でワタナベはキヅキと直子と出会う。
キヅキと直子は幼なじみの恋人同士で、それまで人に対して距離を感じていたワタナベにとってキヅキは初めてできた親友で、直子は初めて好きになった人だった。
しかし、高校最後の夏にキヅキが突然自殺し、そのままワタナベと直子は特に連絡を取り合うこともなく別れてしまう。
一年後、東京の大学に進学していたワタナベは、偶然に直子と再会する。 彼女も東京に来ていたのだ。
それから、毎週のように直子と会うようになり、直子の誕生日の夜二人は結ばれるが、その日を境に直子は東京を離れてしまう。
突然の別れになんとか彼女を取り戻したいワタナベは何通もの手紙を送るが、返事はこないまま日が過ぎていく。
そんな時、同じ大学のミドリと知り合ったワタナベは、ミドリの開けっぴろげな快活さに慰められるのだが、やっと来た直子の手紙に、また心が引き戻されてしまうのだった。
・・・ダメだ、込み入っているから自分で確かめてください。

ワタナベの人となりは、私が一番尊敬している人を思い出させます。
初めて会ったときから、すでにワタナベの年を大きく過ぎていましたが、学生運動に意義を見いだせず、暑苦しいぜ、みたいに斜めにうそぶき、代わりに仏文科の先輩に熱をあげて彼女が勧めてくれたヤクザ映画にのめり込んだ男です。
人一倍シャイで男気のある人でした。
物語の中でワタナベはキヅキの他にもう一人、心を許す男・永沢に出会いますが、永沢は自分の殻を破ろうとせずに本当に愛してくれる人の手を取らなかったことで起きた悲劇の後、ワタナベは彼と決別します。 そういう潔癖な所もあの人を思い出すのでした。
君にとっての愛って何? ワタナベはミドリに尋ねますが、言葉にした時にはどんな愛も過去のものになってるように思います。
ミドリはうまく例えてくれたけど、それはワタナベの望んでいた答えではなかった。
でもなんだかほっとするような答えだったのでした。
キヅキが去り、直子も彼の人生から去り、突然愛の呪縛から解放されたワタナベは、深い悲しみに打ちのめされます。
それでも生きていくことを選んだ彼は心の中でいろいろな折り合いをつけてミドリに電話しますが、自分の居場所をミドリに告げられません。
とても不安な終わり方だけど、『ノルウェイの森』の音楽からもわかりやすいハッピーエンドは望めないと思っていただきたいです。
とにかく、この映画を観て、本当にいろんなことを思い出しました。
風が強すぎるだろ、とか、そんなとこに座ったらお尻黒くなるだろ、とか、後ろの女子高生が失笑するとことか枝葉末節ありますが、いいと思いました。
松ケンやせたな・・・

『ノルウェイの森』 2・5★

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[2010/12/18 23:40 ] | 映画 | トラックバック(0)
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